公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所
NEWS RELEASE
- 2019年1月25日
- 2018年の出版市場規模発表
紙+電子で3.2%減の1兆5,400億円、紙は5.7%減、電子は11.9%増
- 出版業界の調査研究機関である(公社)全国出版協会・出版科学研究所(所在地:東京都新宿区 理事長:浅野純次)は2019年1月25日、『出版月報』1月号において2018年(1〜12月期累計)の出版市場規模を発表しました。紙と電子を合わせた市場規模(推定販売金額)は前年比3.2%減の1兆5,400億円となりました。なお、本レポートの詳細は、『出版月報』2019年1月号(1月25日発行、頒価2,160円)に掲載しています。レポートの要旨は以下の通りです。
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- □ 紙市場は5.7%減の1兆2,921億円 書籍は2.3%減、雑誌は9.4%減
- 2018年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比5.7%減の1兆2,921億円で14年連続のマイナスとなりました。内訳は、書籍が同2.3%減の6,991億円、雑誌は同9.4%減の5,930億円。

- 書籍は児童書、ビジネス書が前年並みでしたが、文芸、実用、文庫、新書など主要ジャンルがマイナスとなり、前年を下回りました。『大家さんと僕』(新潮社)や『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)などテレビ紹介で一気に売り伸ばす書籍が複数登場しました。
- 雑誌は月刊誌(ムック、コミックスを含む)が同9.3%減、週刊誌が同10.1%減。月刊誌のうち、定期誌のみでは約9%減、ムックは約12%減、コミックスは約7%減。コミックスは大手出版社の値上げや映像化作品のヒットがあり年後半にかけて減少幅が縮小。雑誌全体では二桁減を免れました。
- 定期誌は好調なジャンルが見当たらず、グッズ付録や一部アイドルを起用した雑誌が単号で売れる傾向が続いています。
- コミックスは、ジャンプコミックス(集英社)をはじめ大手出版社が主要レーベルの新刊価格を順次値上げ。『はたらく細胞』(講談社)や「名探偵コナン」(小学館)のスピンオフコミックス、テレビアニメ化された『転生したらスライムだった件』(講談社)をはじめとする「異世界転生」ものや「小説家になろう」発のコミカライズがヒットしました。
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- □ 電子市場は11.9%増の2,479億円 コミック14.8%増、書籍10.7%増、雑誌9.8%減
- 2018年の電子出版市場は前年比11.9%増の2,479億円となりました。内訳は、電子コミックが同14.8%増の1,965億円、電子書籍(文字もの)が同10.7%増の321億円、電子雑誌が同9.8%減の193億円。
- 電子コミックは17年後半から海賊版サイトやリーチサイトの影響で伸びが鈍化しましたが、4月に海賊版サイトの代表格である「漫画村」が閉鎖されて以降、売り上げは復調傾向にあります。
- 電子書籍はライトノベル系の作品や紙でよく売れたビジネス書や実用書、写真集の電子版も売れており、着実に伸びています。
- 電子雑誌は定額制雑誌読み放題サービス「dマガジン」(NTTドコモ)の会員数が2年連続で減少したことが影響し、1割近いマイナスとなりました。
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- ※電子出版市場規模は、読者が支払った金額を推計したもの。広告収入は含まない。雑誌には定額制読み放題サービスを含む。
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- なお、本レポートの詳細は、『出版月報』2019年1月号(1月25日発行、頒価2,160円)に掲載しています。