出版科学研究所
コラム
- 出版社PR誌とは
- 2008/12/02
- 『本』(講談社)や『ちくま』(筑摩書房)など書店店頭のレジ横によく置かれているA5判小冊子タイプの出版社PR誌。これらは定価100円と書かれていても、無料で持ち帰ることができるものが大半。また、年間定期購読の場合は600〜2,000円と送料程度の格安料金で購読できる。自社刊行物の宣伝や関連記事が掲載されているほか、有名作家の連載小説やエッセイなど読み応えのあるページが多い。
- [主な出版社PR誌]
創刊年 |
タイトル |
出版社 |
1897 |
學鐙 |
丸善 |
1938 |
図書 |
岩波書店 |
1953 |
書斎の窓 |
有斐閣 |
1959 |
みすず |
みすず書房 |
1962 |
創文 |
創文社 |
1966 |
青春と読書 |
集英社 |
1967 |
波 |
新潮社 |
1968 |
未来 |
未來社 |
1969 |
ちくま |
筑摩書房 |
1976 |
本 |
講談社 |
1978 |
本の窓 |
小学館 |
- この出版社PR誌だが歴史は古く、丸善の1897(明治30)年3月創刊の『學の燈』(1902年『學鐙』と改題)が最古。続いては岩波書店の1938年8月創刊の『図書』。
- 創刊年が古い歴史あるものが多いが、06年には『本の時間』(毎日新聞社)、『本が好き!』(光文社)、『アスペクト』(アスペクト)、『asta*』(ポプラ社)など5点が創刊され、近年も刊行は活発だ。
- PR誌は出版社の広告宣伝費で作られているものが多く、定期購読をしてくれる各出版社の固定ファン、情報源としている書店員、書店の客と3方向へアピールしている。文芸誌などの一般誌には載せにくい新人作家や若手作家の連載や、出版社が新しい動きを進める際に実験的に行うメディアとしての役割も果たしている。PR誌の連載から単行本が発売され、ヒットしている作品も多い。
- 著者のインタビューや対談記事などPR誌でしか読めない原稿も多く、また掲載されているエッセイ等は後に単行本化されるだけあり、非常に内容の充実したものが多い。フリーペーパーやフリーマガジンが普及するなか、PR誌のオリジナル性が見直されており、各社とも力を入れているようだ。